【大型自動車二種免許】取得体験記(一発試験)

この記事で分かること
  • 大型第二種免許とは
  • 免許取得方法について2種類
  • 学科受験対策・技能受験対策
  • 実際の受験体験記
  • 受験の必要経費
  • 免許を取ってどうなったか
目次

大型自動車二種免許

大型自動車二種免許とは

大型自動車二種免許(正式には大型第二種免許)は、観光バスや大型タクシーなどでお客様を安全に運ぶために必要な資格です。受験には19歳以上で、普通免許などの運転経験が1年以上あることが条件。(以前は受験資格は21歳以上かつ普通免許を受けていた期間が3年以上でしたが、令和4年5月13日に緩和されました)

学科・実技ともに難易度が高く、特に実技では細かな操作や安全確認が重視されます。この記事の内容は私が数年前に取得した時のものです。受験される方に少しでも参考になればと思います。

免許を取ろうと思ったきっかけ

私は機械ものの運転に興味があります。子供のころのロボット系のアニメや実写系はほとんど見ていて、いつもロボットの操縦に憧れていました。特にガンダムは本当に乗ってみたいと思ったものです。現在でも誰もが搭乗できる二足歩行のロボットは実現していませんが、代わりに大きな乗り物は存在しています。そして大きなものを自在に操るのが楽しそうに感じ、免許を取ってみたいと思いました

もう一つの理由は「チャレンジの達成を実感したいから」です。このために一発試験を選択しました。試験に合格するというのは、何歳になっても嬉しいものです。教習所に通って取得するのも一つのチャレンジですが、更に「難関且つ安価の一発試験に合格を勝ち取る」ということ自体に興味が湧いたからです。合格すれば喜びもひとしおです。

取得方法は主に2つ

教習所での取得

自動車教習所(指定教習所)に通う方法です。学科・技能講習を受け、所内試験・卒業検定に合格すれば、試験場での技能試験が免除されます。合格率が高く、初めての方にも安心です。ただし、取得費用はかなり高く、大型自動車免許所持者で30万円程度、普通自動車免許所持者なら50~60万円も掛かります。

試験場での一発試験(飛び込み受験)

直接運転免許試験場で受験する方法です。学科・技能試験に合格すれば取得できますが、合格率は約7%と非常に低く、難易度が高いことで知られています。時間や費用を抑えたい人向けですが、何度も挑戦する覚悟が必要です。例として、大阪府の場合は、受験費用は試験手数料が4,500円、車両使用料が2,950円で、合計7,450円です。

もし数回の受験で合格すれば、教習所に比べて格段に安く免許が取得できます。なお、学科試験の手数料も上記の試験手数料に含まれています。学科試験は一度合格すれば以降6カ月間は免除されるので、その後はひたすら技能試験を合格するまで受けるだけです。

受験対策

学科試験勉強

二種免許取得には、新たに学科試験を受ける必要があります。合格基準は9割。なので通常の運転免許の感覚では合格は難しいかもしれません。かと言ってものすごく難関というわけでもありません。繰り返し学習すれば必ず合格すると思います。

私の場合、テキストは「第二種免許 試験に必ず出る! 実戦1570題(日本文芸社)」というのを使用しました。大きな改正がなければ数年前のテキストでも十分かと思います。現在(2025年)の最新版でも2022年改訂となっています。しっかり学習すれば、このテキストだけでも9割は取れますよ。おそらく他のテキストでも大差ないと思います。

現在同様の問題集はこれ↓
「最新版 第二種免許 絶対合格! 学科試験問題集: 最速突破!反復学習に最適な実戦1570題」(Amazon)

技能試験の対策

私は大型自動車免許取得後、あまり時間を置かずに大型二種取得を考えました。間が空くと感覚が鈍ると思ったからです。一発試験での受験と決めていましたが、同じ大型でもトラックとバスは運転感覚が違うので、教習所で単発の教習を受けて練習しました。単発の教習とは受けたい種類の教習だけを1コマ単位で受けられるものです。食事で言うとフルコースと単品の違いのようなものです。入学金などは不要です。

練習は、教習所の大型二種の単発(1回50分)を3回受けました。私が利用したのは尼崎ドライブスクール(兵庫県)の、その名も「飛び込み教習」というものです。1回11,000円でした。(現在は12,100円)

イメトレ

何度も練習したいところですが、費用が嵩むので、飛び込み教習は3回のみとし、あとはひたすらイメトレ(イメージトレーニング)をしました。運転というのは、不慣れなまま行うとどうしてもスムーズさに欠けてしまうので、スポーツと同じ感覚でイメトレをしてみました。

「イメトレ」って言っても何をするのか?私の場合は乗車前から下車するまでの全ての過程をイメトレしました。なぜなら、この試験は乗車前から下車までが全て採点の対象だからです。乗車前の車両周囲の安全確認なども観られています。

実際のイメトレは、眼を閉じて、又は関連する図や写真などを見ながら、全ての動作とセリフ(試験官へのあいさつなど)を頭の中で繰り返します。また、ミラー調整やシートベルト、シフトレバー操作は実際に視線や手を動かしてみます。

基本運転のイメトレと並行して、実際の試験コースのイメトレも実施します。まず、試験場内のコースを暗記して、全てのカーブや交差点について覚えました。どのあたりで安全確認して、指示器をだすか、どれくらい右左折方向に寄せていくか、停止線のどれくらい手前で停止するのか、などなど。

また、路上のコースも覚えました。路上のコースは2種類あって、試験当日どちらのコース指定されるのかは分からないので、両方のコースを覚えます。実際の方法は、自家用車で路上の試験コースを何回か走行して、事前にイメトレで覚えた運転操作を実際に自家用車でも行います。発進時の安全確認、車線変更時の安全確認や指示器のタイミングなどもです。

更に路上コースについて自宅でもイメトレができるよう、路上コースの動画を撮影して、それを何度も見直してイメージを定着させました。最後にはほとんどの道路、交差点、信号、車線の状況、歩行者や自転車の量などを覚えていました。

また、念には念を入れて、車や自転車が急に飛び出してきた時の対応や、道路わきの駐車車両があった場合の適切な避け方、更にどのタイミングで信号が黄色になればそのまま進むか停止するのかも慎重に検討しました。いわゆるプランA、プランBです。急ブレーキは減点対象ですし、かといって黄色になってワンテンポ遅れて交差点に進入しても減点対象だからです。この判断は非常にシビアと思われるので、特に普段の運転時から意識して練習するようにしました。

このイメトレというのは結構私は有用だと思っています。若い頃スキーに嵌っていた時、休みや費用の問題でそんなに頻繁にスキー場には行けないため、毎日のように自宅で眠る前にスキーのイメトレをしていました。

当時はYOUTUBEなどが無かったので、スキーのVHSビデオを購入し、デモスキーヤーの滑走映像を何度も繰り返し頭の中で反復しました。また、スキー雑誌などの技術的な解説を元に、スキー板をどのような角度で雪を踏むか、体重の掛け方の前後位置などもイメトレしました。そうすると、実際滑っていないのに次にスキー場で滑った時には明らかな上達を実感できました。おそらくどのようなスポーツでもイメトレは有用だと私は思います。何と言ってもコスパが最高です。

いざ受験!

試験内容

結果から言いますと、3回目の受験で合格しました。

試験は筆記合格後、実技試験(技能試験)。1回約7,700円の手数料でした。(2025年現在は試験手数料4,500円、車両使用料2,950円、計7,450円)

試験はまず場内走行の課題から始まり、クリアできればそのまま続いて路上走行に移ります。

場内課題は通常の運転操作に加えて、大型二種免許の場合は鋭角、後方間隔、縦列駐車又は方向変換があります。

初めて受験するときにはものすごく緊張します。乗車前には車両周囲に危険要素が無いか確認します。そしてバスの扉を自分で開けて乗車するのですが、最初はバスの扉の開け閉めの方法もわかりませんでした(車種により多少違いがある)ので、試験官に聞いて教えてもらいました。乗り込むと試験官に受験番号と氏名を申告しますが、眼光鋭い試験官に更に緊張します。まず、座席やミラーの調整、シートベルトなど、決められた手順をもれなく実施。

6点確認

発進の際の安全確認ですが、大型二種試験では6点確認というのを行います。まず、①車内の確認(お客さんなど)、②左サイドミラーでの後方確認、③左側面の目視、④ルームミラーで後方確認、⑤右サイドミラーでの後方確認、⑥右側面の目視。これ大変ですが、出発の際はもちろん、停止するたびに行います。大変でしょう?

一時停止標識や赤信号の停止はもちろん、右左折待ちの停止など、少しでも停止した場合に必ず行う必要があります。また、ゆっくり確認していると、もたついてると判断され減点の対象になるので、6点確認は確実に且つ素早く(2秒くらい)実施します。なので、停止中、信号が青になる前にはタイミングを見計らって直前に確認開始し、青信号に変わった直後に発進できるようにします。

なお、試験官は受験者が6点確認をしているかどうかを100%チェックしています。ごまかしはききません。また、本人が確認しているつもりでも、試験官に確認していることが伝わっていなければいけません。視線を確実に6か所に動かします。私の場合はアピール目的で、頭や視線はやや大げさに動かし、最後に「よし」と小さく発声していました。(発声は必須ではありません)

無事発進しても緊張の連続です。初めて場内試験に臨んだ時、右折する場所を一応覚えてはいましたが、ちょっと不安だったので試験官に「ここを曲がるのですね」と質問をしたところ、「そうですよ。でもそんなことも知らずに二種免許を取ろうとしてるんですか?」との返答。この言葉に一瞬ひるみました(-_-;)が、ここで負けてはいけないと自分に言い聞かせ、運転に集中することにしました。

今思えばこれも試験の一環なのかと思いました。実際バスを運転する際には、突然乗客から話しかけられたり、時には罵声を浴びせられることも考えられるので、そういったときにパニックにならないようなメンタルが必要なのかもしれません。

バスの運転には急の付く運転は禁物です。急発進、急ブレーキ、急ハンドル、どれも減点対象です。高齢のお客さんが立って乗車しているのをイメージすれば、おのずと優しい運転になります。

鋭角コース

まず鋭角ですが、「大型バスでこんな道なんか入らんわい!」と突っ込みたくなるような設定です。まあ、こんな鋭角を通り抜けられればどんな道も運転できるだろう、という考え方なのでしょう。なお、鋭角コースの切り替えは3回までOKで、4回切り返すと即失格退場です。

うまくやれば1回で行けます。ただし1回切り替えを狙う場合はコース取りを完璧にし、更に切り返しのバック時、後輪が縁石に接触しないように且つギリギリ(おそらく30センチ以内くらい)まで近づける必要があります。

試験官は隣に乗って採点をしていますが、この切り返しバックで停止した際、そのまま停止するよう言われ、試験官が下車して後輪が縁石に接触していないか直接確認しに行ってました。

次に、後方間隔の試験があります。後方間隔はバスのリア部分から障害物までの間を50センチ以内で停止します。慎重に合わせれば、そんなに難しくは無いと思います。

また、方向転換については、試験に使われるようなバスの車体は、トラックよりもホイールベースが短く、ハンドルはよく切れます。なので方向転換や縦列駐車はそんなに難しくはありません。ただ、トラックの運転席は前輪の上にあるのに対し、バスの運転席は前輪より前にあるので、それを常に忘れずイメージして運転することが重要です。

受験1回目

1回目、場内コースはクリア。路上に出ましたが、数百メートル走行した時点で減点が嵩み試験終了アウト。路上は試験終了になれば、そのまま試験場まで帰らなければなりません。悲しみの帰還です。試験官に減点項目を尋ねると、なんと原因は「ポンピングブレーキを行っていない」でした。

昔運転免許を取得するとき教えられ実践していたポンピングブレーキ。実際日常の運転でポンピングブレーキをすることはほとんどありませんでした。ポンピングブレーキとは、昔の車はブレーキの性能が良くなく、断続的に操作した方が効きが良いから実施していると聞いたことがあります。また、後続車に減速することを伝えるためにブレーキランプを点滅させるという意味もあります。レースの世界ではブレーキ時にタイヤのロックを防ぐためにこまめなポンピングをするといったテクニックもあります。

ただ、いずれも現在の交通事情ではポンピング操作は不要、むしろ危険でさえあると私は思っていました。ほとんどの車がポンピングブレーキを実践していない中で、例えば前を走っている車のブレーキが点滅しだすと戸惑いを覚えるかも知れません。また、大型自動車免許取得時に教習所に行きましたが、その際はポンピングブレーキをするような指導は一切無かったです。事前にネットでも調べてみましたが、必ずポンピングブレーキをしなければならないような記載は見つけられませんでした。なので、考えた上であえて今回の試験でも実施しなかったのです。

ちなみに、試験を受ける前に「技能試験受験のしおり」というのを渡されますが、よく読んでみると、その中の減速停止という項目の中に「…ポンピングブレーキは、ストップランプの点滅により後方の車に減速や停止することを知らせ、追突等の事故防止を図ります」と記載されているではありませんか。このように明記されている限り、現在でも試験ではポンピングブレーキは必要なんですね。少なくとも試験の時は忘れずに行いましょう。

受験2回目

2回目も場内コースはクリア。ポンピングブレーキを確実に実施して臨みました。今回も数百メートル進み、大きな交差点を左折したときでした。試験中止。落ち込みながら試験官に理由を尋ねました。原因は左折時のオーバーハングの未確認

大型バスは大きくハンドルを切る際には、テール部分が大きく外側に振り出します。これは大型車運転時の重要な事項で、もちろん知識はありましたが、交通量の多い大きな交差点の左折時、左の横断歩道にはたくさんの歩行者と自転車の横断があり、そちらに集中しすぎて左折前の右後方の車両の確認をすっかり忘れていました。

通常の乗用車ではオーバーハングはほとんど発生せず、左折時の右後方確認は不要ですが、大型車運転時は必須です。特に大型バスはホイールベースが短いこともあり、トラック以上にお尻が外側に振り出します。この減点は納得の理由でした。これを疎かにしての大型の運転は非常に危険です。

受験3回目

3回目場内試験場はクリア。路上ではポンピングブレーキとオーバーハングに気を付け、試験が続きます。路上コースについては事前に十分に下見をしていたので大きな不安はありませんでした。大型二種の試験項目として、バス停に見立てた目標物に停止するというものがあります。たいていは電柱や郵便ポストなどが指定されます。

バスの乗降口(車体左中ほどにある)に合わせてずれることなく停止するのは難しく感じます。ネットなどの情報では、縁石のブロックを一瞬で見て数えて合わせる方法です。ブロック一つ当たりの長さとブロックの数を掛けて、バスのフロント部分(バンパーや助手席方向にガラス越しに見える部分など)からブロック何個分で目標物に乗降扉を合わせられるか、というテクニックです。

でも、実際にそれを一瞬で判断するのは至難の業であり、いつもブロックがあるわけでもなく、実用的でもないので私はしませんでした。自分の感覚を頼りに停止しました。ブレーキを掛け徐々に減速するイメージを頭で描き停止すると、ほぼぴったりと止めることができました

合格!

その後順調に進み、合格。3回目の挑戦でした。

その日、大型二種の受験者は15名程いましたが、合格したのは私ともう一人の男性Aさん(50代)だけでした。Aさんは見ず知らずの方ですが、同じ目標を達成したことで喜びを分かち合いました。聞くとなんと受験13回目とのこと。そこまで続けられるのはすごいなと思いました。私だとおそらく5回程度でギブアップです。私は運よく合格できたんだなとつくづく思いました。

また、この試験で思ったことは、試験官の厳格さです。この試験官は厳格に、また、公平に審査しています。例えばちょっとのミスを「まあ、これぐらいは良いか」といっておまけしてくれることはありません。また、受験者の人柄によって、それを理由に厳しめに減点するなどもしません(と思います…)。

合格後について

合格後の研修

後で知ったのですが、大型二種の免許証の交付には取得時講習の受講が必要です。実技合格後、後日提携している教習所で6時間受講します。大阪府の場合は阪奈自動車教習所、阪和鳳自動車学校、茨木ドライビングスクールから選びます。私は日程の都合で阪和鳳自動車学校を選択し予約しました。講習金額は18,900円でした。当日自動車学校に行くと、なんと私と同じ日に合格したAさん(50代)も来ていました。その日の研修は私とAさんの2人のみでした。

研修内容は、ドライブシミュレーターでの危険予知やタクシー乗車時のお客様への対応、車いすの取り扱いなどです。その後実際に路上でバスを運転します。まず私が運転して、途中で交代してAさんが運転しました。ひとり当たり20分程だったと思います。隣にはもちろん教官が乗り、適宜アドバイスをしてくれます。バスには加速度計がついていて、急な運転操作を数値化し確認できるので良い経験になりました。試験ではないので終始和やかな雰囲気で、何だったら祝勝会的雰囲気もありました。

無事研修を終え、Aさんにも今後の活躍を祈り、お別れしました。

大型二種免許取得費用

飛び込み教習料、受験手数料、車両使用料、取得時講習等諸々を合わせて、9万円程掛かりました。しかし教習所に行って30~40万円掛けることに比べて遥かに安上りでした。

仮に15回受験したところで20万円も掛からないと思います。

資格を取ってどうなったか

私が大型二種を取ろうと思ったのは冒頭に書いたように機械ものの運転に興味があるのと、実務的に将来バスの運転手もできる可能性があるからです。実際今のところバスの運転手にはなっていませんが、今後なる可能性は残っており、リタイヤ後の選択肢の一つです。また、大型二種免許でふつうのタクシーも乗務できるので、タクシー運転手という選択肢もできます

もう一つは、普段の運転で格段に安全意識が高まったことです。乗車時の安全確認、発進時の確認、車線変更時の確認など、今まで以上に確実に行うようになりました。私は運転免許証を取得して以来30数年無事故無違反ですが(ちょっと自慢^^;)、今後も出来る限り継続しようと思います。

皆さんも興味があればチャレンジしてみてください。記事をご覧いただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

このブログの運営者

50代のサラリーマンです。
定年が近づいてきた今、ふと、早期退職したらどんな世界が待っているのかな?と思い、色々調べています。
FIREを含め、リタイヤに関する色々な情報を載せ、同じような思いの方々に有益となる情報をお伝えしていきたいと思います。

目次